29 AUG 2025

Letters from Italy Vol.34

「Letters from Italy」ではみなさまに少しでも旅気分を味わっていただくべく、ミラノやフィレンツェの誰もが知る観光スポットから、最新情報やとっておきのスポットをジャンニキアリーニのイタリア現地スタッフよりお届けいたします。

ムサート・フェスティバル 2025　～自然がアートと出会うコンサート体験～

午後遅くに到着して、数百年の歴史を誇る木々や静かな森の小道を散策することを想像してみてください。
あなたは単にコンサートに参加するだけでなく、ルネサンスの美しさとトスカーナの自然が融合した、時空を超えた世界へと足を踏み入れるのです。

フィレンツェの郊外にある丘陵地帯に隠れるように位置する、ユネスコ世界遺産に登録されたメディチ家のプラトリノ公園。ここにはヨーロッパで最も幻想的な彫刻の一つである「アペニン山脈のコロッソス」が存在します。これは石から彫り出された16メートルの神話上の巨像です。
その足元では、毎年夏になると音楽が流れ始めます。

ムサートとは？

ムサート・フェスティバルは、一般的な夏の音楽イベントではありません。
それは、丁寧に厳選された体験で、次のような要素を組み合わせたものです。

　・日没時の屋外コンサート
　・アート・インスタレーションと隠れた庭園へのアクセス
　・平和、深み、美しさの雰囲気

音楽に惹かれるか、舞台セッティングに魅了されるか、あるいは単に時代を超えた何かの一部であるという感覚に惹かれるか、ムサート・フェスティバルは、最後の音楽が消えた後も長く心に残る、稀有な一夜を提供します。

トスカーナの中心部、スミレ色に染まりゆく空の下で、芸術と自然が融合し、単なるショーではなく、記憶に残る体験を生み出しています。

ムサート・フェスティバル 2025（外部リンク）

レオナルドのブドウ園　～ミラノ中心部にある隠れた庭園～

ルネサンス様式の壁に囲まれたカサ・デッリ・アテッラニの奥、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会からすぐの場所に、意外なものが隠れています。それは、レオナルド・ダ・ヴィンチが所有していたブドウ園です。

レオナルドのブドウ園を訪れることは、単なる美術館訪問ではありません。それはミラノの忘れ去られた過去をゆっくりと詩的に巡る旅です。

フレスコ画で飾られた部屋を歩き、静かな庭園を通り抜けると、最後にレオナルドがルドヴィコ・イル・モーロから贈られた15世紀の元の土地に再植樹された小さなブドウ園に到着します。

2023年10月以降、LVMHによる新たな私有化に伴い、この施設は一時的に一般公開を中止しています。しかし、今後数ヶ月以内に再オープンする計画が進行中です。

地域文化当局は、一般公開を維持する案を提唱しています。
例えば限定的に入館日を設けたり、キュレーションされたガイド付き見学などです。これらにより訪問者が再びブドウ園を散策し、ミラノ中心部でレオナルドの存在を感じられるようになります。